■退職金制度の現状
バブル期に終身雇用を推奨する目的で導入された退職金制度。
優秀な人材を確保したい、優秀な人材に長く会社に勤めて欲しいと各企業
がこぞって福利厚生の充実を図りました。
福利厚生の代名詞といえば退職金制度。
退職金制度の充実は、企業ブランドに直結する課題でした。
そんな時代の背景に後押しされた手厚い退職金制度。
この手暑さが現代の退職金制度の問題点となっています。
中小企業では、退職金制度を導入してから一度も見直しをしていないとい
う企業が数多く存在するようです。
退職金は、月額給与や賞与と同じように労働の対価として支払う賃金の一
部です。
退職金を賃金の一部と捉えている会社は少ないかもしれませんが、本来で
あれば人事制度や賃金制度の改定に合わせて退職金制度も見直していかな
ければいけないのです。
しかし、他の制度に比べて、どうしても退職金制度の改定は後回しにされ
てしまいがち。
退職金は、すぐに支払いが発生するわけではないので重要度が落ちてしま
うようです。
■賃金の一部としての退職金
退職金を賃金の一部と考えると、当然に賃金制度との調整が必要になります。
成果主義的な賃金制度を導入している場合には、「退職金制度も成果主義に
する」あるいは、あえて退職金制度には均衡性を図り「退職金制度は勤続を
重視する制度にする」など、いくつかの戦略が考えられます。
大事なのは、それぞれの制度に対して、しっかりとした根拠が存在すること。
根拠があれば、制度の運用を誤ることはありませんし、予期せぬキャッシュ
アクシデントも起きません。
給与、手当て、賞与、退職金等の生涯賃金全体の中で退職金の位置付けを決
定することが大事なのです。
■退職金の増加と資金負担
団塊世代の定年退職ラッシュは、とりあえず落ち着きましたが、それでも企
業内で複数の退職者が発生すると、企業にとっては退職金の支払いが大きな
キャッシュ負担となります。
日本企業で最も多く採用されている基本給連動型の退職金制度では、ベース
アップ等で賃金水準が上がると退職金もそれに連動して引き上がっていきま
す。
退職時の基本給を正確に想定するというのも困難ですし、予期せぬ中途退社
は想定すらできないでしょう。
予期せぬ資金ショートを防ぎ、退職者が不満に思わない退職金制度を構築す
るのは本当に難しいことです。
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